ISDN、ADSLなどを経て、インターネットは光回線、まもなく次世代移動通信5Gが導入されるという現代ですが、今でもFAXは現役の通信手段です。
業種によっては、メールよりもFAXのほうがメジャーという場合もあるでしょう。
主な利点としては、手書きで書いた書類をそのまま送信できることです。
そして、情報技術が進化したことで、実はFAXも利便性が向上してきています。
本記事では、そのように進化を遂げてきた「インターネットFAX」についてご紹介します。
目次
インターネットFAXとは?
インターネットとFAXが融合して、文字通り「インターネットFAX」となるわけですが、具体的に今までのFAXとどう違うのか、他の通信手段と比較してみます。
普通のFAXと何が違う?
インターネットFAXは、これまでのFAXとは大きく異なります。
まず、利用する回線に違いがあります。一般的なFAXは電話回線のみを利用しますが、インターネットFAXにおいてはインターネット回線を利用します。
また、一般的なFAXではFAXの送受信料金を行うための専用の端末や、複合機などが必要となります。そのため、まずは数万円程度のコストを掛けて設備を整える必要がありました。それだけではなく、紙やインクなどのランニングコストもかかります。
一方インターネットFAXでは、手元にあるPCやスマホなどのインターネットに接続できるデバイスさえあれば利用が可能です。紙やインクを常に補充する必要もありません。
その他にも、デジタルデータをそのまま送れるインターネットFAXに対して、一般のFAXでは一度紙に印刷してからでないと送信できないなど、送信時の利便性も勝っています。
メールとの違いは?
インターネットFAXはインターネットを使ってやり取りを行うため、「メールとどう違うのか?メールのほうが便利なのでは?」と思った方もいらっしゃるかもしれません。
しかしインターネットFAXとメールでは決定的な違いがあります。
それは、インターネットFAXの場合は、相手が一般的なFAX端末を使っていても送ることができる点です。
メールの場合、相手がメールアドレスを持っていなければ送ることができません。
今でもビジネスの現場では、取引先がメールアドレスを持っていないが、FAXでの連絡は受けられるという場合もあります。そういった方とやり取りを行うために現在でもFAXは必要であり、FAXを自社で導入するのであれば、一般的なFAXよりもインターネットFAXを導入したほうが利便性は高くなります。
企業でインターネットFAXを利用するメリット
従来型のFAXと、そこから進化したインターネットFAXには大きな違いがあることが分かりました。
ここでは、インターネットFAXを利用した場合に得られるメリットを、従来型のFAX機を使用する場合と比較しながら見ていきます。
コストパフォーマンスが高い
インターネットFAXを使うメリットとしてまず挙げられるのは、従来型のFAX機と比較してコストパフォーマンスが高いことです。
インターネットFAXは、プリントアウトをせずに内容を確認できるので、紙代やインク代が不要です。
これまでのFAX機は、受信をしたら自動的にプリントアウトをするものが一般的でした。必要な連絡であれば問題ないのですが、FAXを使ったダイレクトメールなども多くあり、そういったものに用紙やインクを消費してしまうと、無駄にコストが掛かってしまう状態になってしまいます。インターネットFAXではこのような紙・インクの問題が発生しません。
また、インターネットFAXであれば、FAX機の購入もしくはリース費用、メンテナンス費用も不要になります。
どこでもチェックできる
インターネットFAXはパソコンやスマートフォン、タブレットなどを利用してどこでもチェックできることです。
これまでにも、備え付けのモニターで内容をチェックすることができるFAX機もありましたが、結局はFAX機のそばにいなくてはなりませんでした。
インターネットFAXなら、営業先に向かっている途中でも、クライアント企業近くのレストランやカフェなどでも受信内容を確認することができます。
ブラウザで閲覧できるものや、メールで閲覧できるものもありますし、最近ではスマートフォン向けに専用アプリを提供しているサービスもあります。
出先でもチェックすることが可能なので、顧客からの問い合わせに「帰社してから確認します」「今、事務の者に確認させます」などと返答せずに、即座に回答することができます。
営業と製造、経理、総務などすべてを1人で担っている個人事業主の方の場合にも、インターネットFAXを導入することで、外出が多くてもFAXがチェックできるというメリットがあります。
ペーパーレス化できる
従来のFAX機と違って文書を画像データとして受信するため、PCモニターやスマホ、タブレットの画面でチェックしてしまえば紙に印刷する必要がなくなります。
データで管理すればペーパーレス化でき、いつでも過去のデータをチェックできますし、先述の通りコスト面で大きなメリットがあります。
また、従来のFAX機の場合、受信されたFAXは自動的にプリントアウトされるので、オフィスにいる人が誰でもその内容を見ることができました。これでは、特定の人に宛てたFAXを見てしまうといった自社内でのセキュリティリスクが発生してしまいます。また、受信したFAX紙をなくしてしまうリスクもないとはいえません。
インターネットFAXであれば、インターネットFAXのサービスにログインできる人を限定できますし、FAX紙をなくしてしまうようなことはありません。ペーパレス化によって送信内容の秘匿性は高まり、管理・保管におけるメリットも多いでしょう。
インターネットFAXの費用
インターネットFAXは、従来型のFAX機と比較するとコストパフォーマンスが高いことは分かりましたが、導入費用など、全体としてはどのくらいの費用がかかるのかをご紹介します。
月額料金・初期費用
月額費用はインターネットFAXサービスによってもさまざまですが、おおよそ数百円から1,500円以下といったところが主流のようです。
年単位での支払いにすることで価格を抑えられるインターネットFAXサービスもあります。
また、ほとんどのサービスで登録手数料などの初期費用が設定されています。
送受信費用
インターネットFAXでは月額費用とは別に、FAXの送受信に費用がかかります。
送受信費用はサービスによって変わりますが、1枚あたり10円~20円前後が目安です。ちなみに送受信のカウント方法も、送信枚数「◯枚」で数えるか、通信に掛かった時間「◯秒」で数えるかは、インターネットFAXサービスによって異なります。
また、1カ月あたりに規定枚数以内なら無料で送受信ができるサービスや、受信のみ無料のサービスがあるなど、料金設定はさまざまです。
インターネットFAXの導入に必要なものは?
インターネットFAXの利便性を知り、従来型のFAX機からインターネットFAXに乗り換えてみようと考えている企業の方や、FAXはコンビニエンスストアで送受信していたけれど新規でインターネットFAXを取り入れてみようと考える個人事業主の方もいるでしょう。
ここからは、インターネットFAXの導入に必要な書類や手続きについてお伝えしていきます。
申込時に本人確認が必要
インターネットFAXの利用申込時には本人の確認が必要です。
個人であれば運転免許証やパスポートなどの本人が確認できる書類、企業であれば代表者の本人確認資料に加え、会社の登記簿謄(抄)本や現在(履歴)事項証明書、印鑑証明書などが必要です。
なぜ、申し込み時にこのような確認書類が必要かというと、インターネットFAXは、犯罪収益移転防止法の電話受付代行サービスに該当するからです。
電話受付代行サービスは本人確認なしに利用することはできないと法律に定められていますので、インターネットFAXサービスを申し込む際に本人確認を求められなかった場合には、サービス提供会社が法律違反をしている可能性がありますので、注意しましょう。
利用するためのデバイス
インターネットFAXを使うためには、パソコンやスマートフォン、タブレットなどインターネットに接続できる端末が必要です。
導入後の利用シーンを想定すると、どのような端末が必要なのかが分かってくるでしょう。
主にスマートフォンでのFAXの送受信を考えている方にとっては、スマートフォン専用アプリケーションを提供しているサービスなどを利用すれば、より便利に利用できるでしょう。
FAX番号は新規取得、もしくは手持ちの番号をそのまま利用可能
インターネットFAXを始めるには、FAX番号を新規取得するか、手持ちのFAX番号をそのまま利用する方法があります。
新規の場合には、サービス提供会社が提示するFAX番号から使いたいものを選択するだけで取得ができ、非常にシンプルです。
050からはじまるIP電話の番号が提示されることが多いですが、中には東京や大阪、札幌などの国内主要都市の市外局番を選ぶことができるサービスもあります。
新規取得は手軽ではありますが、すでに持っているFAX番号が社外にも周知されてしまっている場合には、番号を変えずに利用できたほうが良いでしょう。
手持ちのFAX番号をそのまま利用したい場合には、新規の場合と異なり、若干手間が掛かります。
FAX番号をそのままインターネットFAXでも使い続けられる2つの方法をご紹介します。
一つは、FAX番号のナンバーポータビリティを行うことです。
ナンバーポータビリティといえば、携帯電話でおなじみですが、固定電話の場合も行うことができます。
ただ、利用するには指定の市外局番であることやNTTから取得したアナログ回線やINS回線であることなど、いくつかの条件が定められています。
条件をクリアしていても、工事が必要だったり、利用できるインターネットFAXサービスが限定されていたりしますので、導入前に詳しく確認しておきましょう。利用にあたっては、通常の月額費用とは別にオプション料金がかかる場合があります。
もう一つの方法は、電話会社の転送サービスを利用することです。
現在利用しているFAX番号に届いたFAXを、転送サービスを使って、インターネットFAXサービスから新規で取得したFAX番号に転送されるように設定します。
この方法であれば、基本的にどのインターネットFAXサービスであっても利用可能ですが、転送にかかる通信費用も必要となるので、送受信件数によってはナンバーポータビリティに比べて割高になることがある点に注意が必要です。
法人向けのインターネットFAX、おすすめは?
インターネットFAXは、IP電話が普及してきた2000年代から広まってきました。
海外では縮小傾向にあるFAXですが、日本は企業などでもFAXの文化が根強く残るため、さまざまなサービスが提供されています。
今回はおすすめの数社のサービスをご紹介します。
03FAX
03FAXはスマートフォンでの利用に特化したインターネットFAXです。
スマートフォン向けに専用アプリケーションを提供しており、インターネットFAXを手軽に利用することができます。
FAX送信は、スマートフォンで書類を撮影して専用アプリケーションを起動し、相手先のFAX番号を入力、送信ボタンを押すだけと簡単。
FAXを受信した場合には、メールのほか、スマートフォンのアプリケーションが通知してくれます。
受信したFAXはPDFや画像化されて100件までクラウド上に保存されるので、過去のデータを手軽にチェックすることができます。
スマートフォンの電話帳から送信先を選択することや、FAXを使ったダイレクトメール対策として番号非通知の場合や指定した番号の着信拒否も設定できます。
料金面も特徴的で、月額1,000円(税抜)で毎月500枚まで送信料金が無料になる「使い放題500オプション」などの手頃なプランが用意されています。
また、初期費用は5,000円ですが、月額費用の支払いを年払いすると、この初期費用が無料になります。
条件を満たした場合は、ナンバーポータビリティも利用でき、FAX番号を変更せずに利用することができます。
利用の際には前述の通り「本人確認」が必要で、確認が取れてから利用開始となります。そのため03FAXは申込みから利用開始まで数日程度かかります。
ちなみに他サービスには、本人確認が完了する前からサービスを利用開始できるものもありますが、その方式は厳密にはコンプライアンス面でのリスクがあります。03FAXは確認完了後に利用開始となるので、法令遵守という点でも安心して利用できるサービスです。
03FAX
https://03plus.net/03fax/
eFax
eFaxは、EメールでFAXを送受信するインターネットFAXサービスで、スマートフォンアプリも提供しています。
新規に取得できるFAX番号は050だけでなく、全国47都道府県の63の市外局番から選択できます。
さらに、世界46カ国の3,500都市のFAX番号を提供しており、世界中どこでも利用することが可能で、海外の244カ国へFAX送信が可能です。
登録手数料は年額1,000円で、月払いプランは月額1,500円、年払いプランは年額18,000円。送受信とも毎月150ページまで無料で、151ページ以降は1ページあたり10円かかります(価格はすべて税別)。
最大5つのEメールアドレスで受信することができるため、複数人での情報共有に適しています。
こちらも、利用の際には本人確認が必要です。
jFax
jFaxはEメールを利用してFAXを送受信するインターネットFAXサービスです。
受信したFAXはPDF形式に変換され、Eメールの添付ファイルとして届きます。
料金は、登録手数料1,000円のほか、月額990円もしくは年払いで11,880円の利用料金がかかります。
料金には1カ月あたり受信100ページ、送信50ページの通信費を含んでいます。
海外の244カ国へのFAX送信が可能です。
こちらも、利用の際には本人確認が必要です。
まとめ
「FAX機のそばにないと使えない」という従来のFAX機の弱点を克服したインターネットFAXは、手書き文化を色濃く残す日本ではIT化の進んだ企業であっても利用するメリットの大きいサービスといえます。
上記に紹介した3つのサービスは、いずれも最大30日間のトライアルを実施しています。
それぞれの特徴を比較し、利用用途に合ったサービスを見つけて、クライアントなどとのコミュニケーションにご活用ください。