ビジネスシーンで使用する機会の多いFAXですが、「メールが主流になったためやり取りが不便に感じる」「オフィスにいる時間が少なく、なかなか確認する時間がない」などの理由で、インターネットFAXを検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
多様な働き方や職場環境も増え、ノマドワーカーであったりシェアオフィスを利用しているなど、FAX機自体を所有していない場合もありますね。FAX機のメンテナンスや消耗品の購入などといったランニングコストの面から考えても、使用頻度によってはインターネットFAXを利用した方がよい場合もあります。
また、中にはFAXはほぼ受信専用になっているという方もいらっしゃるかと思います。そして、受信のためにインターネットFAXに切り替えるべきなのか、検討中の方もいらっしゃるでしょう。
では、インターネットFAXを利用した場合、どのような受信方法があるのか、受信費用はどのくらいかかるのかなど、詳しくご紹介していきます。
目次
インターネットFAXとは
まずインターネットFAXとは、その名の通りインターネット回線を使って送受信を行うFAXのことです。
従来のFAXとの違いは、簡単にいえば使用している回線の違いで、従来のFAXは送受信に電話回線を使用しています。
使用回線の違うインターネットFAXとのやり取りでは、送信側のデータが受信側の使用回線に適したデータに変換されて送られます。
そのため、送信側と受信側の双方がインターネット回線でなくてもやり取りが可能で、送り先が電話回線なのかインターネット回線なのかを意識することもありません。
また、すでにインターネットを利用している環境であれば、契約済みのインターネット回線を使って送受信が行われるため、新たにプロバイダ等との契約やインターネット開通工事なども不要です。
インターネットFAXを利用するメリットの1つは、送られてきた書類をそのままパソコンやスマートフォン、タブレットなどで確認できる点です。これまで行っていたような、送られてきた書類をスキャンして取り込む手間がなくなります。
パソコンなどで作成した書類を送りたい場合も、印刷不要で、データのままインターネット回線を使って送ることができます。
紙への出力を必要としないので、ペーパーレス化が進む現在のビジネス環境に非常に適した方法といえますね。
インターネットFAXの受信方法
では実際にインターネットFAXを利用して受信した場合、どういった形で内容を確認するのでしょうか。
その方法としては、既存のメールを利用するものと、Webサイトやアプリといった専用の閲覧システムを利用するものの2つのパターンがあります。
以下でその内容を詳しくご紹介していきます。
メールで受信
まず1つ目は、既存のメールアドレスを使用して受信する方法です。
インターネットFAXのシステムに、普段使用しているメールアドレスを登録するだけで済むので、新たにメールアドレスを取得する必要はありません。
受信した内容は、PDFファイルやTIFFファイルといった画像データに変換され、メールに添付されて送られてきます。
スマートフォンでも閲覧ができるメールアドレスであれば、インターネット環境さえあれば外出中でも場所を問わず、その場でFAXを受け取ることができます。
GmailなどのWebメールのアドレスを、受信用のアドレスとして登録できるインターネットFAXサービスもあります。
何人かで内容を共有したい場合は、複数のメールアドレスを登録して転送ができるサービスや、同時受信が可能なサービスもあります。
チームで共有することが多い場合などは、アドレスの登録可能件数もふまえて検討してはいかがでしょうか。
専用アプリ・サイトで受信、メールで通知
もう1つは、インターネットFAXサービスの専用アプリや、専用のWebサイトで受信し、サイトにログインすることで内容を確認する方法です。
Webサイトを利用した受信方法の場合、FAXを受信すると、あらかじめ登録したメールアドレス宛に通知メールが届きます。
メールはあくまで通知用ですので、受信したFAX内容を確認するためには、Webブラウザから専用サイトにアクセスする必要があります。
専用アプリを利用した受信方法であれば、アプリから直接通知されるので、そのままアプリを起動するだけでFAX内容の確認が可能です。
アプリを利用したインターネットFAXの受信方法は、メールで通知を受け取ってからWebサイトで内容を確認するよりも、さらにスピーディで利便性の高い方法であるといえるでしょう。
もちろんアプリでも、設定すればメールで通知を受け取れるので、シーンに合った方法を選択できます。
専用アプリやWebサイトでのFAX受信は、セキュリティ対策や独自の便利機能がついている場合が多く、FAXの管理がしやすいといったメリットもあります。
インターネットFAXならでは!受信時の便利なポイント
インターネットFAXは、ネット回線を利用することによるメリットや、各サービスから様々な機能が提供されているなどの特徴があります。
そのような、紙での受信にはないインターネットFAXならではの便利なポイントを、以下でご紹介いたします。
複数人で受信データを閲覧可能
従来では、受け取ったFAXを複数人で閲覧したいときには、回覧したり、コピーして配布するといった方法でした。
インターネットFAXであれば、複数アドレスを登録して同時に受信したり、クラウド上のデータにそれぞれの端末からアクセスしたりするなど、手間をかけることなく複数人で閲覧することができます。
FAXを自動で振り分け
自動振り分け機能のあるインターネットFAXを利用すれば、フォルダを指定しておくことで受信時に自動で振り分けてくれるので、重要な書類の見逃しを防ぐことができます。
メールで受信するタイプのインターネットFAXでも、使用するメーラーの設定でフォルダ振り分けしておけば、ほかのメールに埋もれてしまうこともありません。
受信したFAXを検索可能
受信した書類を探すときも、従来ではファイリングされた書類の山からひとつずつ探すといった、時間も手間もかかる方法でした。
インターネットFAXでは検索機能を使って受信データを探すことができるので、書類探しの時間を大幅に削減できますね。
データなので扱いやすい
クラウドに保存しておけばどこからでもアクセスできるなど、扱いやすさもインターネットFAXの大きなメリットの1つです。
インターネットFAXで受信したデータをPDFなどに書き出して保存しておけば、メールへの添付やコミュニケーションツールを使った共有も簡単に行えます。
またデータでの管理は書類紛失の心配がなく、分類や保管も容易なため、書類整理や保管場所に悩まされることも少なくなります。
手書き機能で署名・捺印も可能
契約書など、受信したFAXに署名や捺印をして返送しなければならないケースもありますね。
そのような場面でも、インターネットFAXは手書き機能を使うことで署名や捺印が可能です。
プリントアウトしたりスキャンで取り込むといった手間がなく、その場で署名・捺印してすぐに送信できるので、効率よく対応できますね。
インターネットFAXの受信時の注意点
データでのやりとりが便利なインターネットFAXですが、いくつか注意しなければならない点もあります。
いずれもちょっとした工夫で解決できることばかりなので、覚えておくとよいでしょう。
保存上限が決まっている場合がある
インターネットFAXで送受信したデータは、保存件数や保存期間の上限が決まっている場合があり、上限を超えると古いものから削除されてしまいます。
メールで受信する場合でも、メールの保存可能件数には上限がありますから、長期保存が必要な場合や消えると困る重要なものは、受信データをダウンロードして、ハードディスクや自社サーバーで保存するようにしましょう。
紙にする必要がある場合は印刷が必要
サインや書き込みをしたい場合など、受信データを紙でほしいというケースもありますね。
手書き機能を搭載したインターネットFAXや、書き込み可能なデータに変換するといった方法で対処することもできますが、その点においては紙で受信できる従来のFAXのほうがやや扱いやすいと言えるでしょう。
また受信データの出力にはプリンターなどの出力機器が必要になるため、プリンターがない場合はコンビニのネットワーク印刷を利用するなどの方法があります。
海外からのFAXの受信に対応していない場合がある
インターネットFAXには海外とのやりとりが可能なサービスもあります。
ただし送信はできないことが多く、またサービスによっては送受信ともに海外対応していない場合もあります。
海外とのFAXのやりとりがある場合、利用したいインターネットFAXが海外からの受信に対応しているかを確認しておきましょう。
インターネットFAXで受信にかかる費用とは?
次に、インターネットFAXでの受信にかかる費用についてご紹介します。
インターネットFAXの利用には、専用番号の取得や登録・設定などの初期費用、月額料金に加え、送受信に費用がかかります。
送受信料は多くが〇〇円/枚といった形で、1枚あたりにかかる費用が記載されています。
月額料金を年払いにすると初期費用が無料になったり、約1ヶ月の無料トライアルがあるなどお得に始められるプランが提供されている場合もあります。
受信無料のサービスも多い
インターネットFAXは受信無料のサービスも多く存在します。
普段の利用割合が、送信頻度は低く受信頻度が高いといった場合など、なるべく受信料を抑えたい方におすすめです。
受信無料のサービスの一例
・03FAX
https://03plus.net/03fax/
・モバイルFAX
https://mfax.jp/
・メッセージプラス
http://www.messageplus.jp/
・KDDI ペーパーレスFAXサービス
https://biz.kddi.com/service/cloud-data-center/fax/
これらのサービスは受信の際に追加費用がかかりません。
送信には費用が発生するので、送信頻度に合わせてサービスを選ぶことがポイントです。
受信有料の場合の相場
有料の場合、受信料は1枚10円ほどのサービスが多いようです。
コンビニでモノクロコピーをする程度の金額で受信が可能というわけですね。
「毎月〇〇枚までは無料」というサービスも多いので、受信枚数が多い場合でも上手に使うことでお得に利用することができます。
・秒速FAX Plus
https://fax.toones.jp/plus/
ベーシックプラン…3円/枚
SOHOプラン…8円/枚
秒速FAX Plusでは3つの料金プランがあり、プランによって月額料金と受信料が異なります。
1pt=1円の専用電子マネー「Toonesポイント」を購入して支払うシステムです。
ビジネスプランは受信料が無料ですが、年間数千枚を超える場合は事前相談が必要となります。
また送信には”秒速FAX”という別サービスへの登録が必要です。
・モバックス
https://movfax.jp
8円/枚(税抜/1,001枚目から)
スタンダードプランとプレミアムプランがありますが、どちらも毎月1,000枚までは無料で受信可能です。
・ファクシモ
https://faximo.jp
9円/枚(税抜/1,001枚目から)
こちらも毎月1,000枚まで無料で受信できるサービスです。
国内外問わず受信ができるので、海外との取り引きもある場合に利用したいサービスです。
・InterFAX
https://www.interfax.jp
10円/ページ(税抜/1,001ページ目から)
こちらのサービスは月額料金に1,000ページまでの受信料が含まれており、1,001ページ目から超過料金が発生します。
また送信サービスと受信サービスは別々となっているため注意が必要です。
・jFax
https://www.jfax.com
10円/ページ(101ページ目から)
毎月100枚まで無料で受信ができるサービスです。
月額料金も安く、送信も毎月50枚まで無料なので、送受信の頻度が低めの方に使いやすいサービスです。
30日間無料のトライアルもあります。
・eFax
https://www.efax.co.jp
10円/ページ(151ページ目から)
eFaxは送受信ともに毎月各150ページまで無料で利用できるサービスです。
こちらも30日間無料のトライアルがあり、まずは試してみてから検討したい場合に嬉しいサービスです。
受信だけで送信しない方におすすめのサービス
送信はまったくしない、受信のみ利用したいという方向けのインターネットFAXサービスも存在します。
D-FAX
D-FAXはメールを利用して受信するタイプのインターネットFAXサービスです。
送信はできませんが、費用は新規登録時にかかる登録手数料のみで月々の利用料は完全無料という受信のみに特化したインターネットFAXサービスです。
インターネットでメールが受信でき、PDFファイルなどのFAXデータを閲覧できるソフト(ビューアー)があれば、パソコン・スマートフォン・タブレットなどでインターネットFAXの受信が可能です。
また、サービスエリア内で利用可能な受信を知らせる専用端末がサービス元から無料で提供されるので、メールを確認できる端末を持ち出せない時でも、いつFAXが届いたかを知ることができます。
受信料金が無料のおすすめサービス
いくつかインターネットFAXサービスをご紹介してきましたが、その中でもおすすめしたいのが以下のサービスです。
どちらも受信料が無料な上、FAXデータをクラウド上で管理できるため、マルチデバイスに対応しており、インターネット環境さえあれば場所を問わずFAXの送受信が可能です。
また価格面だけではなく、様々な独自のサービスや機能がついているのでぜひ検討してみてください。
03FAX
03FAXは、スマートフォンのアプリで利用するインターネットFAXサービスです。
先程ご紹介したとおり、受信料は無料。スマートフォンの専用アプリや専用Webサイトにて受信データの閲覧が可能です。
アプリにドキュメントスキャナー機能を搭載しているため、スマートフォンで撮影した書類画像を、FAX用に最適なデータに自動変換して送信することができます。
情報漏洩や不正利用防止のため、登録した端末以外からの利用はできませんが、追加IDオプションで複数端末での利用が可能になります。
代表FAX番号と追加IDオプションを組み合わせることで、登録した複数の端末で同じ電話番号を利用するといった使い方もできます。
また03FAXは受信料無料なだけでなく、送信料がお得になるオプションサービス「使い放題500」もあります。
月額1,000円(税抜)で毎月500枚まで送信料が無料なので、500枚送りきったとすると1枚2円で送信できたことになり、受信も送信も多いといった方におすすめです。
現在「0円スタートプラン」というキャンペーンも行っており、申込み時にプランの利用を選択することで、申込みから最大30日間は無料で、1日1回までの送信も可能です。
そのほか番号移転や、着信拒否設定でのダイレクトメール対策が可能など細かいサービスが充実しています。
メッセージプラス
メッセージプラスはWebブラウザで利用するタイプのインターネットFAXサービスで、GmailやYahoo!メールのようなインターネット上でWebメールを操作する感覚でFAXを管理することができます。
またアプリをダウンロードすればスマートフォンやタブレットからでも送受信が可能です。
自分のパソコン以外からもアクセスできるので、出張先のホテルなどに備え付けのパソコンやインターネットカフェからでも、インターネット環境があればいつでもFAXの送受信に対応できます。
メッセージプラスには手書き機能が搭載されており、受信したFAXにデータ上で書き足して、そのまま送信が可能です。
受信した内容を閲覧するにはパスワードを必要としたり、独自の送信フローで誤送信対策がとられていたりと、セキュリティ面でも安心です。
こちらのサービスも送信料がお得となっており、メッセージプラス同士であればFAX送信料が無料で送ることができます。
一般固定電話回線上のFAX機への送信も、国内であれば全国一律15円/枚(税抜)で送信できます。
モバイルFAX
モバイルFAXは、スマートフォンやタブレットなどのモバイル専用のインターネットFAXサービスです。
無料の専用アプリをインストールして、アカウント登録するだけで送信と受信を行うことができ、月額利用料は税込500円と非常に安価です。
送信をしたい場合は、別途送信ポイントを購入する必要がありますが、受信は枚数制限や追加料金なく利用できるので、受信する機会の多いユーザーにおすすめのインターネットFAXです。
また最大の特徴は、スマートフォンで撮った写真をそのまま送信できる点です。
外出中に手元の資料を送る必要ができたとき、オフィスに戻ってスキャンしなければなりませんよね。
モバイルFAXの場合、スマホのカメラで撮影し、その場で送信することが可能なので、外回りの営業マンなどには嬉しい機能です。
まとめ
インターネットFAXの受信方法や受信費用についてご紹介してきましたが、ご自身の利用状況やご希望に合ったサービスは見つかりましたでしょうか。
メールやアプリでの受信方法は、使い慣れたツールを使用できることや直感的な操作が可能な点や、受信してすぐに内容が確認できるといった点が魅力です。
また、インターネットFAXなら、受信したFAXを一覧で確認でき、クラウド上で保存できるなど、管理がしやすくセキュリティ面でも安心です。
ただ、どんな利用方法であってもデメリットは存在するので、対策が必要です。
保存期間を過ぎると古いものから削除されてしまう
→長期保存の必要なものの保存方法も確認・検討する
通知や受信メール自体が他のメールに埋もれてしまう
→自動振り分けの設定ができるアドレスを使用し、専用フォルダを作成する
このようなちょっとした対策で、デメリットをカバーし、より使いやすいツールにすることが、インターネットFAXを便利に使うポイントです。
料金についても、単純に安さだけで選ぶと他の費用が高くついたり、必要なサービスが提供されておらず使いにくかったりと、後悔することがあるかもしれません。
ご自身の利用状況をよくイメージし、提供されているプランやオプションの内容から最適なインターネットFAXサービスを選択することが重要です。
ご紹介した内容を参考に、無料キャンペーンなどを上手に活用してお得にインターネットFAXを始めてみてはいかがでしょうか。