企業にとって、直接業務に必要でないコストや無駄は極力省いて、生産性や業務効率を高めたいと考えるのが常ですよね。
今回は、そんな生産性や効率を妨げる問題の一つ「迷惑FAX」について取り上げます。
迷惑だと思いながらも、対策を講じることができずに放置されていないでしょうか。
FAXはインターネット、メールが普及した現在でも、多くの企業で利用されていますよね。
すぐに送受信に時間がかからない即時性、紙でやり取りできる安心感もあり、便利で汎用性が高いからこそ、避けられないのが迷惑FAXなのです。
今回はこの迷惑FAXについて、迷惑な理由とその対策、対処法を考えていきます。
目次
迷惑FAXとは?
迷惑FAXとは、企業の業務運営や社員がその仕事をするにあたって、直接関係のないFAXを受信することをいいます。
ダイレクトメールのFAX版という意味合いで、FAXDM(ファックスディーエム)と言われることもあります。
FAXDMは、営業用のチラシや宣伝物、ニュースレターなどの送付にFAXを使用する、対事業者向け(BtoB)の広告手法として有効とされてきました。
ただ、それを必要とする事業者へ的確に届くFAXDMがある一方で、必要とされない場合には迷惑FAXとなってしまいます。
このような背景として、FAXはすでに長い時間をかけて社会に浸透した文化で、企業のFAX番号は名刺やホームページなど、公開前提で活用されてきたことがあるでしょう。
そのため、誰でもFAXが送れる状態にあり、受け手側の事業者もほとんどの場合、専用機での自動受信設定がされているのではないでしょうか。
送り手側にとっては郵送よりコストを抑え、時間も短縮できて手軽に広告効果が得られること、受け手側が受け身である場合が多いことが、迷惑FAXを生む要因かもれません。
こうした迷惑FAXへの対策が、多くの企業で後手に回っていることが否めない状況なのです。
迷惑FAXの困るポイント
では、迷惑FAXの受け手側が、迷惑だと感じたり困ったりしているポイントは、具体的にどのようなことか、考えてみます。
①迷惑FAXを受けるコストの発生
複合機を含む一般的なFAXは、FAXを受ける度に、用紙と印刷用インクやトナーを消費します。
不要な情報の取得に消耗品が使われ、不用意に余計なコストが増すことは、迷惑FAXが迷惑である最たる理由でしょう。
②都合を無視したFAX着信・受信
いつ届くか分からないのが迷惑FAX。
FAX機の設定にもよりますが、FAX受信時に着信音が鳴るケースでは、それだけで業務の妨げになる場合があります。
着信音が鳴り、受信したものを見に行ったら業務に関係しないFAXだった、など対策すべき事態であることは明白です。
③迷惑FAX受信中に他のFAXが受け取れない
電話回線を利用するFAXの場合、一つのFAXを受信している最中は他のFAXを受信することができません。
また、FAXと電話回線を同一の番号で使用している場合は、FAX受信中は話し中になり、電話を使用することができなくなってしまいます。
それが迷惑FAXだった場合、本来業務上で必要な電話や重要なFAXを、迷惑FAXによって妨げられることになり、ビジネスチャンスの損失や非効率が発生してしまいます。
迷惑FAXが迷惑な理由の一つ一つは小さいかもしれませんが、積もり積もれば、浪費や機会ロスにつながっているケースが少なくありません。
こうした悩みを解決する有効な対策があれば、ぜひ取り入れたいものですよね。
迷惑FAX対策を3つご紹介
迷惑FAXによる余計なコスト発生や、通常業務を妨げる状態を防ぐために、講じるべき対策をご紹介していきます。
その前に、広告や営業のFAXDMの場合、そのFAXの配信停止(拒否)希望や配信停止方法について書かれている場合があります。
面倒ではありますが、その方法に従い、配信停止の手続きをとることが第一の対策です。
そのFAXを受信したくない理由や広告の対象に該当しないことを伝える手段があれば、相手に伝えることが、他の事業者への迷惑FAX抑制につながるかもしれません。
それでも送られてくる、或いはそのような方法がない場合には、以下のような対策を検討してみましょう。
着信拒否設定
まず、迷惑FAXの送付元の番号が特定できる場合、その番号からの着信を拒否することで、迷惑FAXを撃退する対策です。
番号を特定する方法は、FAX原稿自体に記載がある場合のほか、NTTの有料付加サービス「ナンバー・ディスプレイ」を契約する方法があります。
加入している電話回線プランにもよりますが、事務用の月額使用料は税抜1,200円(工事費税抜2,000円が必要)で利用することができます。
ナンバー・ディスプレイ対応の受信機であれば、着信した相手の番号を受信機側に表示するもので、多くの場合受信機が記録するようになっています。
他の通信会社でも「発信番号表示」(KDDI)、「番号表示サービス」(ソフトバンク)など、同様のサービスがあるので確認してみてください。
こうして番号を特定することができれば、FAX機、複合機の迷惑FAX防止機能やそれに準ずる機能を設定します。
番号指定や名称指定での着信拒否、発信者の名称が未設定のFAXが指定できる機能など、お使いのFAX機を確認してみましょう。
迷惑FAX送信者の番号が特定できない場合、番号非通知で送られてくる場合は、非通知着信拒否機能でそもそも非通知の電話を受信しない設定もあり、有効な対策です。
「迷惑電話おことわりサービス」の利用
迷惑FAXを迷惑電話同様に対策する方法の一つが、NTTの「迷惑電話おことわりサービス」です。
その他の通信会社でも同様のサービスがありますので、確認してみましょう。
一般的に、迷惑電話(FAX)を受けた直後に、自身でダイヤル操作を行うことで、以降同じ番号から受信する場合に、この番号からの電話は受信できない旨を自動的にメッセージ応答させるサービスです。
NTTの場合、最大6個の電話番号を拒否登録できる「迷惑電話おことわりサービス6」(月額税抜600円)と、最大30個の「迷惑電話おことわりサービス30」(月額税抜700円)があります。(初期設定に税抜2,000円がかかります。)
メッセージ応答した通話は呼び出し音も鳴らず、発信番号非通知にも対応しているので便利です。
この対策は、迷惑FAXを受け取った直後に対応しなければならず、業務に支障をきたしたり、営業時間外に受信する迷惑FAXには対策しづらかったりするのが難点です。
非通知対策に「ナンバーリクエスト」
迷惑FAXは番号非通知で送信されてくる場合も多いでしょう。
そんな場合は「ナンバーリクエスト」(NTT)が有効な対策です。
非通知発信の着信に、電話番号を通知してかけ直すよう自動音声メッセージで応答するサービスで、相手は番号を通知せざるを得なくなるため、迷惑FAXを未然に防ぐことができます。
NTTの場合、事務用の一般加入電話で月額税抜400円の利用料と、別途初期設定費用(税抜2,000円)かかる有料サービスで、「ナンバー・ディスプレイ」のオプションサービスのため、同時申込で割安になります。
ナンバー・ディスプレイ契約をしていない場合、「ナンバーお知らせ136」(NTT)というサービスもあります。
着信があった後に「136」をダイヤル、続けて「1」をダイヤルすると、最後にかかってきた電話の日時と電話番号を音声でお知らせしてくれるサービスです。
事前申し込みは不要で、1回の利用毎に税抜30円の料金がかかります。
番号非通知の通話、公衆電話、国際電話などには対応していませんが、調べられない場合は料金もかかりません。
ただし「迷惑電話おことわりサービス」同様、迷惑FAXを受け取った直後に対応しなければならい点は、考慮しなくてはいけません。
こうして番号が分かれば、先にご紹介した方法で着信拒否設定をする対策ができます。
インターネットFAX導入も有効な対策です
ここまで、電話回線を使用するFAXでの迷惑FAX防止対策についてご紹介してきましたが、インターネットFAXを導入するという対策もあります。
インターネットFAXとは、電話回線を使用せず、インターネット経由でFAXを送受信するものです。
送信側にFAX用の電話回線がなくてもFAXの送受信を行うことができ、公衆電話回線を使用する相手側のFAX専用機にも問題なく使用することができます。
では、電話回線を使用するFAXとインターネット回線を使用するインターネットFAXでは、迷惑FAXへの対策にどのような違いがあるのでしょうか。
迷惑FAX対策としてインターネットFAXが有効な理由
まず、迷惑FAXが困る大きな原因である、コスト面での対策ができます。
インターネットFAXでは、受信ファイルはPDFまたはJPG画像でデータ保存ができますので、FAX機、用紙、インクやトナーの消耗品が必要ありません。
迷惑FAXに対してもペーパーレス化、データ対応にしておけば、物理面でのコストが不要になりますし、基本的に受信無料のサービスを選べば、通信コストがかかることもありません。
また、電話回線ではFAX受信時に回線を専有されることがありますが、インターネットFAXでは専有される回線がないため、必要なFAXや電話を邪魔されることは無用な心配となるのです。
さらに、簡単な操作で着信拒否設定が可能で、非通知と番号指定の両方に対応しています。
ですから、迷惑FAXに着信拒否で対策をする場合においても、電話回線を使用する有料のサービス同様の対策が可能となります。
インターネットFAXをおすすめできるケースとできないケース
このように、迷惑FAX対策という観点から、インターネットFAXの導入を視野に入れることができそうです。
ただし、インターネットFAXにはおすすめできるケースとできないケースがあることも把握しておきましょう。
まず、導入にあたって必須条件であるインターネット環境が整っていて、業務上FAXを送信する機会が多い事業者においては、迷惑FAX対策としてもインターネッットFAXをおすすめできます。
受信無料でデータを蓄積、ペーパーレスで必要な書類だけを出力すればよい点で、コスト削減になるうえ、送信時の通信コストも削減できるからです。
反対に、安定したインターネット環境がない場合は、導入コストがかかります。
また、FAXはもっぱら受信のみで使用するような場合には、インターネットFAX契約のランニングコストがかかり、それぞれ余計な出費になってしまうこともあります。
自社業務におけるFAX使用状況、職場環境や働き方、対策したい内容などに応じて、検討してみることをおすすめします。
法人におすすめのインターネットFAXとは?
迷惑FAXへの対策から、インターネットFAXという選択肢にご興味を持たれた法人事業者に、おすすめしたいインターネットFAXサービスをご紹介します。
迷惑FAX対策のみならず、多くの点で、業務の効率化につなげることができるでしょう。
FAX受信が無料、送信もリーズナブル「03FAX」
インターネットFAXサービスのうち、FAX受信が無料なのが、03FAXです。
その他の主な機能や特徴をご紹介します。
■着信拒否設定
迷惑FAXにしっかり対策できる機能で、非通知と番号指定での着信拒否設定が可能です。
■定額送信オプション
使い放題500オプション(月額税抜1,000円)を利用すれば、月500枚まで送信可能になりますので、通信料をほとんど気にする必要がありません。
■スマホアプリ対応、PCブラウザでも送受信可能
送受信は、スマホアプリはもちろん、PCブラウザ(Google Chrome、Mozilla Firefox推奨)からも行えるので、利便性が高いのも特徴です。スマホのカメラで撮影した写真を、FAX用に自動変換して送信できるドキュメントスキャナー機能もたいへん便利な機能です。
■FAX機も利用可能
宅内機器(アダプタ)利用オプションを契約すれば、FAX機の利用も可能です。事務所ではFAX機で、外出先ではアプリで、同じ内容を確認できるようになります。機能面や使い勝手、コスト面で、迷惑FAXの対策にも力を発揮してくれそうですね。
まとめ
今回は、迷惑FAXに今すぐできる対策をご紹介し、インターネットFAXサービスの利用も対策の一つになることをお伝えしました。
まずはできる対策を講じているかを検証してみることでしょう。
インターネットFAXという選択肢については、迷惑FAX対策以外にも業務効率や使いやすさといった点もあわせ、比較検討するきっかけになればと思います。
インターネットFAXを使うことで利便性が高まることもふまえて、自社にとって最適な迷惑FAX対策や、FAX利用のあり方について、改めて考えてみてはいかがでしょうか。