インターネットが普及した現代でも、その利便性から様々なシーンでFAXが活用されています。現在でも日常的にFAXを取り扱う会社は多いでしょう。
また逆に、普段は基本的に使わないため自社や自宅にFAX設備がないのに、取引先などの相手から「FAXで送ってほしい、送りたい」と言われて困ったという経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
会社や自宅で従来の固定電話回線によるFAXを利用できるようにするには、契約・工事にかかる費用、FAX機などの設備費をはじめとしたそれなりのコストがかかってきます。
また、導入費用だけでなく通信費などの維持管理費なども必要になり、どうしてもある程度の費用の発生は避けられません。
「臨時的な利用しかしない」「会社のインフラとして置いてはおきたいが、導入・利用にコストがかかるのは費用対効果として見合わない」「FAX利用が多く通信費がかさむし、紙やインクがすぐ切れてしまい消耗品費もバカにならない」といったFAXに関するお悩みは様々です。
そういった声に応えるのが、インターネットを利用することで手間とコストを省く「インターネットFAX」のサービスです。
中でも気になるのは「無料で使えるインターネットFAXサービスはあるの…?」という点。今回はこの部分も詳しくご説明します。記事を参考に、無料サービスを上手く活用していただければと思います。
目次
インターネットFAXサービスとは
インターネットFAXサービスとは、従来のように固定電話回線を利用するのではなく、インターネット回線を利用してFAXの送受信ができるサービスです。
デジタルデータ化した書類をFAX番号宛に送信することができます。
また、FAXとして送られてきた書類はデジタルデータで確認することができます。
送受信するFAXは、インターネットFAXサービスのブラウザやアプリ上、またはメールに添付された書類の形で確認できるようになっています。
相手方が従来のFAXを利用していても、こちら側ではパソコンやスマホなどで送受信の操作を行うことができる仕組みのため、相手方もインターネットFAXである必要はありません。
インターネットFAXは、紙やインク、通信費などのランニングコストを抑えたい、またはFAXを紙に出力する必要はなくデータの状態で扱う方が手軽で便利という場合にもおすすめです。
このように、従来の電話回線を利用するFAXに比べて大幅なコスト削減と効率化が期待できるインターネットFAXですが、中には無料で利用できるものも提供されています。
無料のインターネットFAXとは?
現在提供されているインターネットFAXサービスの多くは、初期費用や月額料金に加えて、送受信ごとに利用料金が発生するものが主流です。
そんな中、「無料で利用できるインターネットFAX」も登場しています。
「無料のインターネットFAX」には大きく分けて2つのタイプがあります。
①機能が制限されるが完全無料
②基本的には有料だが決められた範囲内なら送信無料や受信無料
つまり、全ての機能が無料で無制限で使えるようなインターネットFAXサービスは存在しないといっていいでしょう。
そのため、無料のサービスを活用してできるだけ安くインターネットFAXを利用したいと考えているのならば、自社がどんな機能を必要としているか、そして各サービスがどんな機能を提供しているかという点から考えて、各サービスの内容や特徴を理解した上で選ぶ必要があります。
完全無料で利用できるサービス
完全無料で利用できるインターネットFAXサービスでは、利用できる機能が大幅に制限されています。
無料であるということはとても魅力的ですが、目的や利用頻度に見合っていればこそのメリットです。
無料だと思って使い始めてから、枚数制限を超えたので結局有料で追加するプランに課金した、などということになってしまうと、有料で提供されている他社インターネットFAXサービスの方が機能やサービス内容が良かったということになりかねません。
余計な手間やコスト、トラブルなどが発生することのないよう、まずは完全無料のインターネットFAXを使う際の主な制限やデメリットを理解しておきましょう。
完全無料タイプを使う際の主な制限・デメリット
完全無料で利用できるのは、基本的に送信に限られます。
FAXを悪用する犯罪を防止する目的から、受信用FAX番号などを取得する場合は申込者の本人確認と拠点確認が義務づけられているためです。
したがって、もし受信も無料で提供しているインターネットFAXサービスがあったとしても、この本人確認を適切に行なっていないサービスを利用することはリスクがありますので注意が必要です。
また現時点では、完全無料で利用できるインターネットFAXは海外の提供会社によるサービスとなっています。
そのため、日本語のサイトがなく利用方法が分かりづらい、日本に送信できない場合もあるといったデメリットがあります。
また、「一日一回まで」といった回数制限、「一度に何ページまで」などの枚数制限が設けられていることが多く、ページ数がオーバーする書類は送れないということになります。
そのため、普段はFAXをほとんど使うことがなく、不定期・臨時的にFAX送信をすることがあるという程度の方なら、完全無料のインターネットFAXサービスで事足りるかもしれません。
主要な無料インターネットFAXサービス
それでは、現在利用できる無料のインターネットFAXサービスを2つご紹介しましょう。
HelloFax
HelloFaxは、アメリカ・サンフランシスコに拠点を置く「HELLOSIGN」が運営するインターネットFAXサービスです。
日本語のサイトはありません。現在70か国以上で利用できるようになっています。
完全無料のフリープランでは、1度きり、送信のみ、5ページ分が利用できるようになっています。
ただし、国ごとに送信枚数のカウント方法が異なっていますので注意が必要です。
日本の場合は、1ページが5ページ分とカウントされることになっており、つまり日本宛ての送信で完全無料で利用できるのは実質1ページとなります。
送受信ともに利用可能な通常の有料プランは3つ用意されており、30日間の無料トライアルや無料送信分が含まれています。
無料トライアル期間中のキャンセルも可能ですので、期間限定での利用であればそちらを検討してもいいでしょう。
DropboxやGoogleドライブなどのクラウドサービスとの連携が可能なほか、上位プランでは現在利用しているFAX番号の移転サービスも利用できるようになっています。
Fax.de
Fax.deは、ドイツの「FAX.de GmbH」が運営するインターネットFAXサービスです。
HelloFaxと同じく日本語のサイトはなく、ドイツ語か英語の表示です。現在50か国への送受信に対応しています。
Fax.deのサイトでは有料プランの案内になっていますが、モバイルアプリで完全無料のインターネットFAX送信サービスが利用できます。
「FreeFax (Android用) 」、「 FAX-it! (iPhone用)」の名称で提供されています。
Fax.deのモバイルアプリによる送信無料サービスは一日1ページまでとなっていますが、利用期間の制限がありません。
そのため、時々FAX送信が必要になるものの、1日1ページ以上送ることはないという場合は必要十分なインターネットFAXサービスです。
こちらもHelloFaxと同様にDropboxやGoogleドライブなどのクラウドサービスとの連携が可能になっているほか、アプリをインストールしたスマホなどで撮影した書類を送信できる機能も付いています。
基本有料だが一部機能が無料のもの
基本的に、ビジネス利用の場合は制限なく全ての機能やサービスが使える有料プランの方が安心です。
有料サービスの料金設定としては、初期費用、月額基本料金に加えて送受信した分は従量課金となる形が一般的です。
ただ、そのうち送受信の部分に関しては、「無料で毎月〇枚まで送信(または受信)できる」などといった形で、一定量の利用が無料となっている場合があります。
このように枚数に制限があっても利用上問題ない範囲であれば、基本有料ではあるものの一部機能が無料のインターネットFAXサービスを利用することで、コスト削減に役立てることができるでしょう。
主要な一部無料サービス
それでは、主要な一部無料サービスをご紹介しながら、具体的に費用感がどのようになるのか、詳しくご説明したいと思います。
eFAXの送信150枚無料
eFAXはj2 Global Japan 有限会社が提供するインターネットFAXサービスです。
国内主要都市を含む全都道府県57都市の市外局番に対応しているほか、世界46カ国、3,500都市の現地のFAX番号を提供しています。
eFAXの料金設定は以下の通りです。※すべて税別
・登録手数料: 1,000円
・月額料金: <月払いプラン>1,500円/月、<年払いプラン>18,000円/年
・受信料金: 毎月150ページ まで無料、(151ページ目以降) 10円/ページ
・送信料金: 毎月150ページ まで無料、(151ページ目以降) 10円/ページ(国内)
このように、有料プランの月額料金に受信分・送信分それぞれ150ページの無料サービスが付帯しているのがeFAXの特徴です。
国内の主要インターネットFAXサービスでは、無料送信が付帯するものは少ない傾向にありますので、受信・送信ともに毎月150枚前後は利用するといった場合は無駄なく無料分を消化できるのでeFAXが適しているといえるでしょう。
03FAXなどの受信無料
有料プランに付帯する受信無料サービスを採用しているインターネットFAXサービスはいくつかありますが、今回は03FAXを例に挙げてご紹介します。
03FAXは、株式会社グラントンが提供するインターネットFAXサービスです。
もともとはスマホアプリに特化したインターネットFAXとなっていましたが、2020年1月からブラウザからの利用も可能となったことで利便性が高まりました。
多くの地域の市外局番に対応しているほか、番号移転サービス(現在利用しているFAX番号をそのまま利用できるサービス)にも対応している点が特徴です。
03FAXの料金設定は以下の通りです。※すべて税別
・初期費用: 5,000円(初回年払いで無料)
・月額料金: 980円
・受信料金: 無料(無制限)
・送信料金: 20円/30秒
「毎月〇枚まで」などの枚数制限ありで受信無料となっているインターネットFAXサービスは、先ほど紹介したeFAXを始めとして他にもありますが、03FAXは無制限で受信無料となっていますので、月によっては大量に受信することがあるという場合も非常に安心です。
また、月額料金も比較的低価格ながら、初回年払いによって初期費用も無料になるなど、導入・維持費ともにトータルのコストを低く抑えることができます。
送信無料は付帯しませんが、「送信定額オプション」を利用することで月500枚まで1,000円でFAX送信が可能になっています。
受信だけでなく送信も多い場合は、このようなオプションサービスも利用することによって他社サービスに比べても非常に割安なコストに抑えることができるため、おすすめです。
このように、一口に「受信無料」といっても料金プラン内容には各社特徴がありますので、利用頻度に応じて最適なインターネットFAXサービスを選ぶ必要があるでしょう。
どのサービスが最適?自社の利用シーンに合わせて選ぼう
これまで見てきたように、「無料で使えるインターネットFAX」にもサービスによって様々な特徴があります。
月に数枚程度の送信のみであれば、完全無料のインターネットFAXで十分かもしれません。ですが、日によっては1日のうちに複数件送信するような状況が発生するようなら、制限をオーバーしてしまいます。
また、有料プランの一部が無料となるインターネットFAXサービスを利用する場合、無制限でなければ枚数制限をオーバーした分は従量課金となります。
毎月の利用枚数が把握できていないと、「無料分を使い切った後の料金が割高だった」「無料だけど実際はそれほど使っていない」といったように、あまり無料分のメリットを享受できない結果となってしまいます。
送信・受信いずれかに偏って多く利用するなど、人によって利用シーンも様々です。最適なインターネットFAXサービスを選ぶために、まずは利用目的や予定している利用頻度と内容をきちんと把握することが重要です。
まとめ
従来の固定電話回線によるFAXと比較すると大幅なコスト削減に役立つインターネットFAXですが、無料で利用できるサービスを活用することでさらなる経費削減に繋がります。
あらためて、ご自身のFAXの利用目的や状況を洗い出し、最大限お得に利用できるよう十分に各サービスを比較検討していただくことをおすすめします。