インターネットFAXで番号そのまま利用する2つの方法とは?

みなさんは、会社で日常的にファックスを利用されていますでしょうか。

インターネットの普及に伴い、ほとんどファックスを使わなくなったという方も多いと思いますが、業界によっては取引先がファックスを利用している等の理由で、今でも日常的にファックスを利用している方はまだまだ沢山おられます。

そのようなファックスユーザーの「ファックスの利点を活かしつつもっと便利に送受信したい」というニーズに応えて、インターネットFAXという新しいサービスが登場しました。

メリットの多いインターネットFAXですが、デメリットとして挙げられるのは「既存のFAX番号をそのまま使えない」という点です。050から始まるものなど、新規の番号を取得して利用することになります。

しかし、とある方法を使うことで今持っているFAX番号をそのまま利用し続けることも可能なのです。

そこで今回は、いま注目のインターネットFAXに関するご紹介と、既存のFAX番号をそのまま使う方法について解説します。

 

インターネットFAXとは

インターネットFAXとは、その名の通り、インターネットを利用してファックスを送受信する新しいサービスです。

一般的なファックスは電話回線を利用しますが、インターネットFAXはインターネット回線を利用するため、電話回線がなくてもファックスの送受信を行えるのが大きな特徴です。

インターネットにアクセスできる環境とパソコンまたはスマホさえあれば、誰でもすぐにインターネットFAXを利用することができます。

もちろん、相手側が電話回線のファックスであっても問題なく送受信が行えます。

インターネットFAXであれば、一度に大量に送付することも可能ですし、ファックス機や用紙、インクを購入する必要がないためコスト削減につながります。

今までよりも綺麗な画像で簡単にファックスを送受信できる上にコストも削減できるのは、嬉しいですね。

今までのファックスであれば、「オフィスに誰もいないのでファックスを受信できない」「急ぎの発注書を送りたいが外出先から送れない」「遅い時間までオフィスに残って書類を送信しなければならない」などということがありました。

インターネットFAXを導入すればこのような煩わしさから解放され、仕事の効率アップが期待できるため、中小企業を中心に、既存のファックスからインターネットFAXへ乗り換える企業が増えてきています。

 

インターネットFAXの番号は? 

多くのインターネットFAXサービスでは、すでに持っている番号をそのまま使える「ナンバーポータビリティ」のサービスを提供していないため、番号を新規に取得する必要があります。

これは電話回線を使用する従来のファックスサービスも同様です。

インターネットFAXに移行するためにファックス番号が変わってしまうとなると、移行を躊躇してしまう方も多いと思います。

特に、長期間に渡って使用していた番号が変わるとなると、取引先各所への連絡や名刺の刷り直し、ホームページの修正など、余計な手間が発生してしまいます。

できれば、現在使っているファックス番号をそのまま継続利用したいですよね。

そのような場合、ファックス番号を変えずにそのままインターネットFAXへ移行できる方法があります。

 

インターネットFAXで番号そのまま利用する方法 

現在使っているファックスを、番号そのままでインターネットFAXへ移行するには次の2つの方法があります。

 

転送サービス 

1つめは、電話回線業者が提供している転送サービスを利用する方法です。

このサービスを利用すれば、古いファックス番号に送信されてきたファックスが自動的に新しいインターネットFAXへ転送されますので、ファックス番号が変わっても問題ありません。古い番号をそのまま使えるのは助かりますね。

転送サービスの仕組みについて詳しくご説明しましょう。

 

転送サービスの仕組み・使い方 

転送サービスとは、かかってきた電話を指定の番号へ転送するサービスで、複数の転送先を設定することも可能です。

転送元の電話を呼び出さずに直接新しい番号へ転送することができますので、かけた方に違和感を与えることなく新しい番号へつなげることができます。

また、近年ではグローバル化に対応し、国内で受信した電話を海外へ転送できるサービスもあります。

主な転送方法は下記の通りです。

 1. 無条件転送:かかってきた電話をすべて転送

 2. 無応答転送:かかってきた電話に応答できない場合のみ転送

 3. 圏外転送:充電が切れていたり、圏外で電波が届かない場合のみ転送

 4. 通話中転送:他の相手と通話中のみ転送

 5. 選択転送:都度、手元の操作で選択して転送

さまざまなニーズに応えられるよう、色々なサービスが用意されています。

 

転送サービスの費用 

費用は電話回線のキャリアによって異なりますが、ひかり回線の場合は下記費用がかかります。

ひかり回線の場合 月額500円(税抜)

アナログ/ISDN回線の場合 住宅用:月額500円(税抜)、事務所用:月額800円(税抜)

キャリアによって多少の違いはありますが、概ね月額500円程度のコストが発生します。

月額の費用が発生するとしても、トータルで考えるとインターネットFAXへ切り替えた方がコスト削減につながる場合が多いでしょう。

先述の通り、インターネットFAXは、インクトナーや用紙の費用がかかりません。さらに、電話回線の利用料やメンテナンス費用も不要となるので、十分に500円の出費は回収できるはずです。

 

転送サービスの通信料について

転送サービスの利用料はさほど大きな金額ではありませんが、転送時の通信費が余分にかかる点については注意が必要です。

転送サービスは、かかってきた電話を再度新しい番号へかけ直しているのと同じことですので、転送時の通信費が自己負担になります。転送件数が少ない場合はよいですが、件数が増えれば増えるだけ通信費がかさみますので、その点は念頭に置いておきましょう。

導入するにあたっては、毎月の使用料と通信費を合わせてランニングコストがどれくらい増えるのかを予め試算することをおすすめします。

インターネットFAXを利用する頻度と期間を鑑みて検討するとよいでしょう。

 

転送サービスの注意点

ファックス番号そのままでファックスを転送する注意点として、転送先のファックス機種によっては利用不可もしくは設定変更をしなければなりません。

また、画像が乱れ、ファックス番号そのままで転送サービスをうまく利用できない可能性もあります。

なお、通話とファックスを判別できない転送サービスもあるので、ファックス番号そのままでFAXを転送したい時には、FAX専用の番号を持つことをおすすめします。

 

転送サービスの例

ここで、代表的な転送サービスであるNTTボイスワープについてご紹介します。

NTTボイスワープでは、かかってきた電話を、転送元の電話を呼び出すことなく直接新しい番号へそのまま転送する「無条件転送」、いったん転送元の電話を呼び出してから転送する「無応答転送」の二種類が設定できます。

さらに、外出先から転送の開始、停止、転送先の変更を行うこと(リモートコントロール)が可能です。

転送先は、あらかじめ登録した電話番号(5か所まで)の中で自由に変更が可能です。
リモートコントロール機能を利用するには、「142」をダイヤルして利用する方法(無料)と、リモコン用アクセス番号に電話をして利用する方法(有料)があります。

なお、かかってきた電話が音声通話なのかファックスなのかを判別することはできないため、すべての電話がそのまま転送されます。
電話兼FAXの電話機を利用している場合は、FAX以外の通話も転送されてしまうので注意が必要です。

 

ボイスワープFAX転送
https://www.isdn-info.co.jp/voice/fax.html

 

番号移転サービス

通信費がかさむ等の理由で転送サービスを使いたくない場合、現在使っているファックス番号をそのままインターネットFAXへ移行するもう1つの方法として、番号移転サービス(ナンバーポータビリティ)があります。

 

番号移転サービスの仕組み・使い方

先述の通り、一般的にインターネットFAXでは番号をそのまま使えるナンバーポータビリティのサービスは提供していないのですが、実は、ある一定の条件を満たす場合に限り、番号をそのまま移転させることができるのです。

ナンバーポータビリティとは、古い電話番号をそのまま引き継げる制度です。

携帯電話の機種変更をする際に、ドコモ、au、ソフトバンクなどのキャリアを変更しても古い電話番号をそのまま引き継げるサービスがありますが、仕組みはそれと同じです。

 

番号移転サービスの費用

移転にかかる費用はインターネットFAXサービスによって異なります。ここではナンバーポータビリティを提供しているサービスの中から03FAXを例にとってご紹介しますと、

・ナンバーポータビリティオプションの利用:
 移転のための初期費用3,000円、利用料が月額1,100円

といった料金になっています。月額費用がかかりますが、前述の転送サービスとは異なり転送ごと通信費はかからないため、受信件数が多い場合は番号移転サービスのほうが費用を安く抑えられるでしょう。

 

番号移転サービスの注意点

番号移転サービスを利用するためには、下記条件を満たす必要があります。

●NTT東西で取得した番号、またはISDNで取得した番号であること

  • 設置場所が電話番号サービス提供エリアと同じであること

また、この移行サービスは全てのインターネットFAXで提供されているものではなく、現在では前述の03FAXを含め、ごく僅かなサービスでのみ提供されています。

 

番号そのままで利用できるインターネットFAXサービス 

古いファックス番号をそのまま変えずにインターネットFAXへ移行できる番号移転サービスは便利ですが、対応している業者はかなり限られます。

 

03FAX

03FAXは、インターネット環境さえあれば、いつでもどこからでもファックスの送受信が可能です。スマートフォンのアプリやPCのブラウザからファックスの送受信が行えます。

この03FAXでは前述の通りナンバーポータビリティを提供しています。このオプションの費用は、移転のための初期費用3,000円、利用料が月額1,100円です。

そのほか、下記のような特徴があります。

 

受信したデータをクラウド上で保存できる

受信データがクラウドに保存されるため、遡ってデータを確認できます。データの保存件数の上限は100件までです。上限を超えると、古いデータから削除される仕組みになっています。

 

着信拒否の設定が可能

非通知番号や指定番号からの着信を拒否設定することができます。ファックスのダイレクトメールなど、不要なファックスを受信したくない場合は便利な機能です。

 

電話帳との連携が可能

スマホの電話帳とインターネットFAXを連携させることにより、スマホに登録されている番号へファックス送信することが可能です。オプションのWeb電話帳を利用すれば、複数のスマホで送信先を共有することも可能です。

 

複数の端末で利用することが可能

複数の端末で利用する場合は、端末ごとにIDを追加契約する必要があります。また、複数の端末で同じファックス番号を利用する場合は、代表のインターネットFAX番号を設定する必要があります。

 

定額オプション

月額税抜1,000円の使い放題プラン(使い放題500オプション)にすると、毎月500枚まで定額で送信することが可能です。通信料を気にせず利用できるのは嬉しいですね。

 

FAX機器オプション

宅内機器オプションを選べば、FAX機器を利用することもできます。しかも、FAX機器はオフィスまで届けてくれます。届いた機器を有線LANのインターネット回線に接続すれば利用可能です。

 

音声通話サービスへの切り替え

インターネットFAXだけでなく、音声通話も利用することもできます。その際は、03plusサービスに申し込む必要があります。すでに03FAXを利用中の方も、途中から番号そのままで音声通話利用に切り替えることもできます。

 

03FAXの番号移転サービス利用にあたって

03FAXにはファックス番号そのままでインターネットFAXに移転できるオプションがあります。

ただし、NTTアナログ回線またはISDNの電話番号のみが移行が可能で、ひかり電話は、ファックス番号そのままでインターネットFAXに移転することはできません。

ひかり電話の番号そのままでインターネットFAXに転送したいのであれば、前述した転送サービスの利用は可能です。

ファックス番号そのままでインターネットFAXに切り替えたい場合はインターネットFAXの03FAXを検討してはいかがでしょうか。

 

秒速FAX(2019年11月に番号移転サービスを終了)

Toonesが提供するインターネットFAXサービスである「秒速FAX」では、以前は番号移転サービスに対応していました。

しかし調査したところ、残念ながら2019年11月に番号移転サービスの提供を終了しておりました。

一部サイトでは現在も番号移転サービスを提供していると書かれているものがありましたが、おそらく情報が更新されていないものと思われます。すでに提供終了してしまっていますので、ご検討の際はご注意ください。

 

FNX e-受信FAXサービスの利用

FNX e-受信の大きな特徴は、ファックス番号そのままでインターネットFAXへ移行できるところです。

既存の複合機に専用アダプタを装着するだけで、クラウドサーバーに自動連携。

ファックス番号そのままでインターネットFAXとして利用することが可能です。

ログインID増加に対する追加料金はありません。

社員全員分のIDを発行すればファックス番号そのままで、インターネットFAXを全員が無料で共有できます。

 

次に、主な機能を紹介します。

受信FAXのフォルダ管理
フォルダをドラック&ドロップで簡単に整理整頓

ステータス管理
「回答済」「回答予定」などの設定が可能

書き込み機能
ロゴや定型文の差し込み機能・手書き機能

 

専用アダプタレンタル代を含む初期費用は62,000円で、月額費用は15,000円と高めなのがネックです。

 

それぞれの方法を利用した際の費用を比較

ファックス番号そのままで、通常のファックスからインターネットFAXに切り替える方法を紹介してきました。

ここからは、ファックス番号そのままでインターネットFAXを利用した際の費用を比較します。

対象は03FAX+番号移転、FNXe-受信、03FAX+ボイスワープの3つです。

以下の条件でファックス番号そのままでインターネットFAXを利用する費用を比べました。

 

<条件>

  • 同一県内の市外へ送受信
  • 距離 20~60km (1ページにつき送信時間1分)
  • 追加ID 20回線
  • 転送先 1か所
  • 送信・受信(午前8時~午後7時) 
    ①100枚・100枚  ②500枚・500枚 ③1,000枚・1,000枚

 

<費用一覧>(※すべて税抜)

03FAX番号移転 FNXe-受信 03FAX+ボイスワープ
03FAX ボイスワープ
初期費用 5,000円
(年払いの場合3,800円)
62,000円 5,000円
(年払いの場合無料)
なし
月額費用 1,280円 15,000円 980円 800円
受信料金 無料 無料 無料 無料
送信料金 40-80円/枚 21円/枚 40-80円/枚 30円/枚
代表FAX番号 月額費用 200円 なし 200円 なし
追加ID

(1直通番号/1回線)

初期費用 5,000円
(年払いの場合3,800円)
なし 5,000円
(年払いの場合2,000円)
なし
月額費用 900円 なし 700円 なし
番号移転 初期費用 3,000円 なし なし なし
月額費用 1,100円 なし なし なし
オプション 使い放題500

1,000円

なし 使い放題500

1,000円

なし

<初期費用と月額使用料> (※単位:円 すべて税抜)

03FAX

番号移転

FNX e-受信 03FAX

ボイスワープ

初期費用 月額 初期費用 月額 初期費用 月額
基本 5,000
→年払いで3,800
1,280 62,000 15,000 5,000
→年払いで無料
980+800
追加ID(20回線) 100,000
→年払いで
76,000
18,000 100,000
→年払いで
40,000
14,000
代表番号 300 200
番号移転 3,000 1,100
合計 108,000 20,680 62,000 15,000 40,000 15,980

  

<送信費用>(※単位:円 すべて税抜)

  03FAX
番号移転
FNX 
e-受信
03FAX
ボイスワープ
①送信各100枚/月 1,000 2,100 4,000
②送信各500枚/月 1,000 10,500 16,000
②送信各1,000枚/月 21,000 21,000 51,000

 

月額使用料と送信費用の比較>

①送信各100枚/月(※単位:円 すべて税抜)

03FAX
番号移転
FNX e-受信 03FAX
ボイスワープ
送受信費用 1,000 2,100 4,000
月額使用料 20,680 15,000 15,980
合計 21,680 17,100 19,980

 

②送信各500枚/月(※単位:円 すべて税抜)

03FAX
番号移転
FNX e-受信 03FAX
ボイスワープ
送受信費用 1,000 10,500 16,000
月額使用料 20,680 15,000 15,980
合計 21,680 25,500 31,980

 

③送信各1,000枚/月(※単位:円 すべて税抜)

03FAX
番号移転
FNX 
e―受信
03FAX
ボイスワープ
送受信費用 21,000 21,000 51,000
月額使用料 20,680 15,000 15,980
合計 41,680 36,000 66,980

 

ファックス番号そのままでインターネットFAXに移行する場合、送信枚数に応じて「03FAX 番号移転」「FNXe-受信」でお得なサービスが異なるという結果になりました。

03FAXの「送り放題500」オプションは、適用することで500枚までの送信が月1,000円の定額になるものです。このメリットが非常に大きいため、500枚までの送信の場合であれば03FAXを利用するほうがかなりお得になります。

 

ちなみに、ファックス番号そのままでインターネットFAXを利用する場合、番号移転だけでなくIDの発行数によっても大きくコストが変わってきます。

追加IDを多数発行しない場合、かつ年払いでの契約を行えば、03FAXの初期費用はかなり抑えられます。

 

まとめ

従来、ファックスはファックス機器がないと送受信できませんでしたが、インターネットFAXならいつでもどこでも送受信することができます。

また、ファックス機器や、プリント用紙、インクが不要のため、コスト削減にもつながります。

これまでのファックス番号をそのまま使える移転サービスを利用すれば、インターネットFAXへの移行もスムーズに行うことが可能ですので、この機会にインターネットFAXへの移行を検討してみてはいかがでしょうか。