近年、企業個人問わず連絡のやり取りはメールが主流となっています。そのためFAXの利用者は減っていますが、一部ではいまだに良く使われているサービスです。
現在もFAXが必要となるシーンがあるため、「FAXを使いたいが導入コストが気になる」「従来のFAX機よりもコストを下げたい」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そんな方におすすめなのがインターネット回線を使って送受信できる「インターネットFAX」です。本記事ではインターネットFAXとはなにか、導入するにはどうすればいいのかなどをご紹介します。
目次
インターネットFAXとは
インターネットFAX とはインターネット回線を使ってFAXの送受信をするサービスです。通常のFAXが電話回線を利用するのに比べ、インターネットにつながっていればどこでも送受信できるのが特徴です。
パソコンやスマートフォンからFAXを送受信できるので、FAX機や紙、トナーなどが必要ありません。
インターネットFAX導入のメリット
上記のほかにも、インターネットFAXを導入するメリットはたくさんあります。
主なメリットを5つご紹介します。
【インターネットFAX導入のメリット1:トータルコストの削減】
前述の通り、通常のFAX機ではなく、スマホ・PC・タブレットなどインターネットに接続できる機器を使ってファックスの送受信が可能です。
新たにFAX機を購入する必要がないため、導入時の初期費用を抑えることができます。
FAX機本体が不要なので、紙やトナーなどの消耗品を購入する必要がなく大幅なコストカットにつながります。
【インターネットFAX導入のメリット2:ペーパーレス化を実現】
インターネットFAXは、インターネットを経由してファックスを送受信します。
受信したデータはPDFまたはJPG画像でクラウド上に保存されるので、紙が不要です。
データであれば、紙が劣化せず、面倒なファイリングの手間も、保管場所も不要です。
急な問い合わせがあっても、大量の書類の中から慌てて探す必要がありません。
確認が必要な時には、簡単にデータをさかのぼってチェックできるところも導入のメリットでしょう。
送信も文書データや写真などで行うことができるので、 ペーパーレス化を実現できます。
【インターネットFAX導入のメリット3:FAX利便性の向上】
スマホ・PC・タブレットでファックスを送受信できるので、ファックスの送受信時にわざわざ離れたFAX機まで行く必要がなくなります。
また、通常のFAX機の場合、オフィスで直接FAX機を操作してファックスを送受信しなければなりませんが、インターネットFAXであればいつでもどこでもファックスの送受信を行うことができます。
例えば、営業回りの途中に電車の中で、休憩したカフェで、隙間時間を有効活用してファックスの送受信ができるのです。
インターネットFAXを導入することで「FAX対応のためにオフィスに戻らなければならない」「FAXが届くまで退社することができない」といった非効率な働き方をしなくていいため、残業時間の短縮や労働時間の削減につながる可能性もあります。
【インターネットFAX導入のメリット4:安心のセキュリティ】
通常のFAX機で受信した場合、そのファックスは自動的に紙に印刷されるので、誰もが簡単に目にすることができます。
さらに、オフィス内の複数人が1台のファックス機を使用している場合、FAX機から別の用件のファックス紙を持って行ってしまうというリスクもあります。
多くの人が使う環境では、紛失の可能性も非常に高くなり危険ですね。
インターネットFAXは、情報漏えいや不正利用防止のため暗号化された通信を使用し、登録された端末以外からは利用することができないようになっています。
ファックス紛失や情報漏洩などのミスを起こさないためにも、安心のセキュリティ体制をもつサービスの導入をおすすめします。
【インターネットFAX導入のメリット5:文書の紛失を防ぐ】
FAX機に文書を忘れるという人為的なミスは、よく起こります。
社内のFAX機ならまだしも、営業担当者が外出中にコンビニエンスストアなどのFAX機を用いてFAXを送信した時に、文書を置いてきてしまったらどうなるでしょうか。
出張先で遠方のコンビニエンスストアに置いてきてしまったなら一大事です。
書類がコンビニエンスストアから警察署に渡される場合もあります。
見積もりや図面などの書類の情報が第三者の手に渡ってしまうこともあり得ます。
その点、手元でFAX送信が行えるインターネットFAXを導入していれば安心して利用することができます。
インターネットFAXの使い方
インターネットFAXを提供するサービスによって異なりますが、主にメール・アプリ・WEBブラウザ上で利用できる管理画面などから送受信を行います。
メールの場合、パソコンやスマートフォンで作成したファイルを添付して送信します。発行されたアドレスの先頭に相手先の番号をつければ、相手はFAXとして受信できます。Web管理画面やアプリでも同様に原稿を選択し、相手も相手の番号を指定して送信します。
相手から送られてきたファイルは自動的にPDF等のパソコンやスマートフォンで閲覧できる形式に変換されます。
インターネットFAXの導入前におさえておくポイント
インターネットFAXはFAX機などを新しく購入しなくてもよいので手軽に始められるサービスです。しかしインターネットFAXはサービスを提供している会社によって、内容が異なります。そのため導入前に「どんなサービスが必要なのか」「自社が困っているのはどんなことか」を明確にしておく必要があります。
ここではインターネットFAXを導入する前に考えておきたいポイントをご紹介します。
月間の送受信数を見積もる
まずは自社の月間の送受信数を見積もりましょう。インターネットFAXは、送信数に応じて料金が変わることが多いためです。
月間の送受信数が少ないのに「規定枚数以内なら使い放題」のようなプランを選んでしまうと、コスト的に見合わないものになってしまいます。逆に月間の送受信数が多い場合は、「〇〇枚まで使い放題」のようなプランを選ぶのがおすすめです。
送受信数を見積もったら、各社の料金プランをもとに、かかる費用をシミュレーションしてみましょう。
FAX番号は既存のものを使うか、新規発行するか
インターネットFAXでは、IP電話の「050」から始まる電話番号を使うことが多いです。しかしサービスによっては市外局番から始まる電話番号も使えます。ビジネスでは市外局番を利用したいと考える場合も多いので、どちらがいいか考えておきましょう。
また既にFAXを導入しており、インターネットFAX導入後も同じ番号を使い続けたいという場合は、番号移転サービスを提供しているインターネットFAXを選ぶ方法と、インターネットFAXの導入とは別に、NTTの「ボイスワープ」など電話転送サービスを利用する方法があります。
インターネットFAXサービスを選ぶ
複数の会社がインターネットFAXサービスを提供しており、それぞれに特徴があります。では具体的にどのような点に注目してサービスを選べばいいのかご紹介します。
必要な機能と料金で絞り込み
インターネットFAXは複数の会社が提供しており、そのサービス内容も細かく異なります。
導入する際には、自社にとって必要な機能がきちんと備わっているかどうかを確認するようにしましょう。
「必要な機能が備わっていなかった」「必要な機能が追加オプションで想定以上の予算になってしまった」ということがないようにしたいですね。
自社の送受信回数に見合ったものを選ぼう
まずはあらかじめ見積もった自社のFAX送受信回数を参考にしましょう。
例えば「FAXは必要だが月に数回しか利用しない」場合、利用した枚数分だけ費用がかかるプランがおすすめです。無駄なコストがかからず、経済的です。
月の送受信回数が多いのであれば「〇〇件までは無料」といったプランを取り入れているサービスがおすすめです。使い放題プランがあれば、月の送受信回数を気にしながら送信しなくてもすみます。
ただし使い放題プランといっても月の枚数に制限があり、その制限を超えると通常料金になります。この使い放題プランや自社の利用頻度などを含めた総額をシミュレーションしておきましょう。
利用できるFAX番号をチェック
従来はFAX機を利用していて、インターネットFAXを導入するとき「ファックス番号が変わってしまうのは困る」という懸念があるのではないでしょうか。
オフィスのファックス番号が変わってしまうと、取引先や顧客に知らせなくてはならないため、名刺やパンフレットの刷り直し、自社ホームページの修正変更など細かな作業が発生してしまうのではないでしょうか。
そのような手間暇のかかる面倒な作業はできるだけ避けたいと思うのが本音でしょう。
「ファックス番号を変えずにインターネットFAXを導入したい!」という方におすすめなのは「番号移転(ナンバーポータビリティ)」が使用できるサービスです。
移転可能な番号であれば、現在利用しているFAX番号を変更することなく、そのまま利用することが可能です。
ただ、携帯電話とは違い固定電話番号の移転には制約も多いため、番号移転ができる番号かどうか確認が必要です。
番号移転に対応しているサービスも限定されていますので、導入を検討するときには必ずチェックしましょう。
この他にも、FAXの「転送」サービスもあります。
FAX番号の移転、転送サービスともインターネットFAXの標準費用に加え、別途費用がかかりますので、費用面も確認しておきましょう。
複数人で利用する方法を確認
インターネットFAXでは、FAXを受信することができるメールアドレスを複数人分設定できるものがほとんどです。
一つのアドレスで受信後、特定の担当者がそれぞれ情報を必要とする人に振り分けるという方法もありますが、そもそもファックス管理自体を複数人で行うことができれば便利です。
休暇による対応遅れや見落としなどのミスの可能性も大きく減少できます。
ただ、FAX受信設定が可能なメールアドレスの数は提供する会社によって異なるので、導入前に確認を忘れないようにしましょう。
オプション機能であるため、追加料金がかかるというケースは少なくありません。
使いやすさ・サポート体制も要チェック
使いやすさを機能もチェックしておきましょう。例えばパソコンだけでなくスマートフォンでも使いたい場合、どちらも使えるサービスであるかどうかもチェックします。また複数人と共有したい場合は「Web管理画面」があると便利です。
・従来のFAX機との併用はできるか
サービスによっては従来のFAX機と併用できる場合もあります。
代表のFAX番号と組み合わせて利用することで、オフィスではFAX機で、外出先はスマートフォンのアプリで受信という使い方もできます。
また複数端末で共通の番号を使う機能などもあります。例えば外出することのある従業員がそれぞれの端末にアプリを入れます。FAXを受信した際には、事務所のFAXとアプリで同時に受信できます。複数に端末で一気に共有できるので、社内で共有する手間が省けます。
・サポート体制は充実しているか
サービスを利用する上でサポート体制もしっかりチェックしておきたいポイントです。サービスに関してはもちろん、ちょっとした使い方にも親身に答えてくれるサポート体制があった方が安心です。
また問い合わせ方法も確認しておきましょう。電話、メール、チャットなど、問い合わせ方法が多い方がいざという時に役立ちます。
インターネットFAX導入の流れ
実際にインターネットFAXを導入するには、どのような流れになるのでしょうか。ここではインターネットFAXの申し込み方など導入の流れについてご紹介します。
サービスに申し込み
まずはサービスに申し込みましょう。Webから簡単に申し込みます。
サービスを申し込むには、本人確認書類が必要です。
申込時に支払いが行われるサービスもありますので、あらかじめ目当ての支払い方法での支払いが可能かを確認しておきましょう。
FAX番号の選択、もしくは既存番号の利用
次にFAX番号を選択します。一般的なサービスでは市外局番か050で始まる番号を選べるようになっています。
既存の番号を使いたい場合は、番号移転サービスが利用できるインターネットFAXを選びましょう。
本人確認書類の登録
2019年5月22日の「電気通信事業法の改正」により、新しくサービスに申し込む場合は本人確認及び拠点確認が必要となります。個人の場合は、運転免許証やパスポートなど、法人の場合は登記簿謄本、印鑑証明書などが必要です。
本人確認書類は郵送か画像アップロードで登録します。画像アップロードの方が素早く登録できるので、開通も早くなります。
トライアルができる場合は必ず利用を
インターネットFAXの導入を検討しているけれど「本当に簡単に利用できるの?」と不安な方も多いのではないでしょうか。
期間限定で無料トライアルが可能なサービスもあるので、まずは無料体験で実際のサービスを使用することをおすすめします。
手軽に導入できる!おすすめインターネットFAXサービス
国内外で複数の業者がインターネットFAXサービスを導入しています。ここでは3つのサービスについてご紹介します。
03FAX
スマートフォンアプリを使ってインターネットFAXが使えるサービスです。2020年1月よりパソコンのブラウザからでもFAXが使えるようになり、さらに利便性が向上しました。
月額1,280円で受信料金は無料、さらに追加のオプションで月500枚までの使い放題サービスがあるので、月々大量にFAXを送受信するのにおすすめです。
03 FAXの特徴
・スマートフォンアプリで送受信可能
スマートフォンのアプリからFAXの送受信が可能です。スマートフォンのカメラで撮影した写真を変換してそのまま送信することもできます。
・月500枚まで追加料金が不要
月額料金プラス1,000円(税抜)で、月500枚まで使い料金が発生しないプラン「使い放題500」が用意されています。通常送信には20円/30 秒かかるので、月々のFAX利用が多い方にはおすすめのプランです。
・電話帳と連携できる
スマートフォンの電話帳から送信先を選択して送信できます。
またオプション機能として共通の電話帳をクラウドで管理し、グループ内で共有する「Web電話帳」機能もあります。スマートフォンアプリと管理ページから登録や編集ができるので、アドレス帳をリアルタイムで編集・共有が可能です。また管理ページからCSV形式でデータをインポートすることもできます。
Web電話帳ならスマートフォン端末の電話帳(プライベート用)とビジネス用を分けられます。またWeb電話帳のデータはスマートフォンのローカルデータには残らないので、端末の紛失・盗難、スタッフの退職などの際も個人情報漏洩などが無く安心です。
・番号移転サービス(ナンバーポータビリティ)が利用可能
お持ちの電話番号が条件を満たしていれば、FAX番号を変更せずにそのまま03FAXで利用できます。
・通常のFAXと併用可能
宅内機器オプションを付けることで、FAX機も利用できます。機器が無い場合は届けてくれます。有線LANのインターネット回線とFAX機を接続して利用します。
利用料金(すべて税抜)
基本料金 | |
初期費用 | 5,000円(初回年払いで割引) |
月額費用 | 1,280円 |
受信料金 | 無料(何枚でも無料) |
送信料金 | 20円/秒 |
追加ID | |
初期費用 | 5,000円 |
月額費用 | 700円 |
宅内機器(アダプタ) | |
初期費用 | 7,800円 |
月額費用 | 500円 |
使い放題500プランを選択した場合は、月額にプラス1,000円かかります。500枚を超えたら通常の料金が発生します。
すべてのプランで契約期間などの縛りは無く、解約費用などもかかりません。ただし年払いの場合、年途中で解約しても残月数分の返金などは行われていないので注意しましょう。
また無料トライアルの「0円スタートキャンペーン」なども用意されています。このキャンペーンは申し込みから最大30日間無料で利用できます。ただし受信は無制限ですが、送信は1日1回までと制限があります。期間中に解約すれば全額返金されます。
eFax
全国すべての都道府県の市外局番を選べるのが特徴のサービスです。地域が限られていないので「ビジネスで使うからどうしても市外局番を使いたい」という人に向いています。また全国共通の「050」番号も販売が開始されました。
eFaxの特徴
・全国の市外局番が選べる
eFaxは全国57の市外局番の中から番号を選択できるのが特徴です。東京03や大阪06などの主要都市はもちろん、全都道府県の番号を取得可能です。
さらに世界中の都市の番号も選択できます。
・最大5つのメールアドレスで同時受信可能
FAX番号1つに受信アドレスを5つまで設定できます。送信されたFAXを5つのアドレスでそれぞれ確認できるので、社内でも共有が楽になります。社内、社外の人それぞれが手元の端末でFAXの送受信ができます。
・メールとアプリどちらも使える
メールだけでなくスマートフォンアプリでもFAXの送受信が可能です。
・最短即日利用開始
ホームページからすぐに申し込みができ、最短で即日利用が可能です。
利用料金
基本料金 | |
登録手数料 | 1,000円(税抜) |
支払いプラン | 月払いプラン 1,500円/月(税抜) |
年払いプラン 18,000円/年(税抜) | |
受信料金 | 毎月150ページまで無料
151ページ以降 10円/ページ |
送信料金 | 毎月150ページまで無料
151ページ以降 10円/ページ |
毎月150ページまでは送受信ともに無料です。月々の利用枚数が150枚以内に収まる場合はかなりお得に利用できるでしょう。
eFaxは30日間の無料トライアルも用意されていますので、「自社に合うかどうか不安」という方は無料トライアルから試すこともできます。
jFax
jFaxもスマートフォンとパソコンからFAX可能なサービスです。東京03と全国共通の050の市外局番が選択できます。シンプルにFAXの送受信だけしたいという方に向いてします。
jFaxの特徴
・スマートフォンとパソコン両方で使える
スマートフォンとパソコンどちらの端末でもFAXの送受信ができます。スマートフォンアプリはありませんが、メール機能を使ってそのまま送信できます。またPDFやWordなどのファイルもそのまま送信できます。
・30日間の無料トライアルがある
30日間無料で試せる無料トライアルが用意されています。「とりあえず使い心地を試したい」という時にも便利です。
利用料金
基本料金 | |
登録手数料 | 1,000円(税抜) |
支払いプラン | 月払いプラン 990円/月(税抜) |
年払いプラン 11,880円/年(税抜) | |
受信料金 | 毎月100ページまで無料
101ページ以降 10円/ページ |
送信料金 | 毎月50ページまで無料
51ページ以降 10円/ページ |
jFaxはシンプルな機能と料金プランが特徴です。
受信・送信枚数ともに無料枚数が少ないですが、その分月額料金がおさえられています。月々のFAX枚数が少なく、最低限の機能があればいいという方におすすめです。
まとめ
メールやチャットなどの普及に伴い、FAXの利用は減ってきましたが、現在でも需要は多くあります。インターネットFAXは従来のようなFAX専用機が無くても、パソコンやスマートフォンがあれば手軽にFAX利用ができるのが最大の利点です。
インターネットFAXであれば、FAX機や紙、トナーなどが不要なので、コストを大幅に下げられます。また外出先でも手元のスマートフォンで簡単に内容を確認できるため、わざわざオフィスに帰る必要がありません。
「FAXを導入したいがコストが気になる」という場合は、インターネットFAXを検討してみてはいかがでしょうか。